所属:生物資源科学部 地域資源開発学科 職位:講師 学位:博士(工学)
植物体内時計の簡易計測手法の開発、遺伝子発現の揺らぎがもつ生理学的意義の解明、植物の生長変化量の変動解析、農業用環境計測システムの開発、アクアポニックス
生物の生理現象は体内時計により制御されています。これは人間や動物だけでなく、植物も同様です。私は植物が持つ体内時計を外部から調整し、生育を最適化する研究を行っています。
生物は体内時計という約24時間の周期と外環境の周期とを密接に連携させ生きています。自ら動けない植物は、体内の周期と外環境の周期がズレると生育が悪くなり収量が少なくなります。このズレを戻してやれば、生育不良も改善され、廃棄されることもなくなります。
そこで私の研究では、「植物の体内時計の解析」をメインテーマとし、体内時計を制御し生育を改善させることを目指しています。現在は、体内時計に由来する葉の動きを解析し、自動的に生育不良株を見つけるシステムの開発に取り組んでいます。
私の研究テーマである体内時計を利用した別の研究テーマとして、「植物は日々何を思っているのか」という問いに答える手法を開発しています。動物と異なり、植物は移動できないため、環境の変化に応じて内部の状態を変化させて適応する必要があります。これは、環境変化が生命にとって重大なストレスとなる場合、特に重要となってきます。栽培者は植物が何を「感じている」のかを知ることで、適切な対応が可能になります。しかし、植物は私たちに直接話しかけることはできません。そこで、植物の体内時計に依存するリズムを利用して、その健康状態やストレスのサインを読み取る新しい手法を開発しています。これは接触せずに植物をそのままの状態で観察することができるため、「植物の普段の姿」を見ることができるようになります。
植物以外にも、動物の体内時計に関する研究を進めており、特にナマズの研究に力を入れています。ナマズは夜行性の生物で、昼間の光が体内時計にどのように影響を及ぼし、それが夜間の行動にどう影響するのかを詳しく調査しています。この研究を通じて、ナマズの行動パターンと季節との関連を深く理解し、生態学的な知見を深めることを目指しています。
これらの研究には、体内時計が環境の変化とどのような関係性にあるのかを明らかにし、そして体内時計がとは生物にとってどのようなものなのかを明らかにできると思い取り組んでいます。
これら体内時計の他に、植物工場の製品に付加価値を付けるために、エディブルフラワーの生産を甲村教授の研究室共同で行っています。 野菜は単体でも鮮やかな緑色をしていますが、華やかさはありません。ここにエディブルフラワーを添えることで華やかになり、葉物野菜にはない栄養素も補え、他の類似製品との差別化も行えます。
生物がもつ体内時計によりリズムは、その時々の状況により複雑に制御機構を変更しています。その制御機構の仕組みを解明していきます。そして、植物の生育を制御し、新しい生産体系を構築してきます。
江田島市・JA (R3~)
江田島市・JA呉